音楽理論

佐渡島の次平

音階(スケール)


ジャズ・アドリブをする為に、知っておいたほうが役に立ちそうな音楽理論を書きます。
正式な音楽教育を受けた訳では無く、独学で理論書やネットで読んだ知識なので順序がバラバラだったり、抜けているところもあると思いますがその辺りはご容赦を。もっと正確に勉強されたい方は、専門書等を読んでください。

音階、スケールと言いますが「ドレミファソラシド」と言うのは階名で音名ではありません。
ハ長調の場合には「ド」と言えば日本の音名では「ハ」、英語音名では"C"と言います。しかし、ト長調になると「ド」は音名は「ト」、英語音名では"G"になります。階名と音名は違う事に注意してください。

階名
ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド
日本音名
ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、イ、ロ、ハ
英語音名
C,D,E,F,G,A,B,C

ジャズ等のポップス系の音楽では英語音名で呼ぶので、まずは英語音名に慣れてください。
音名もコード記号もメージャー・コードの場合、例えばCメージャー・コードでは単に、Cとしか書かないので注意してください。ジャズでは4和音にするので、C6とかCM7,Cmaj7,C△7と書くのであまり問題は無いと思いますが。

そもそも音階はどうやって決まったんでしょう。
"C"の音を出す弦が張ってあったとします。この弦の長さを半分にするとオクターブ上"C"の音が出ます。さらに、1/3にするとその上の"G"の音が出ます。さらに1/3にすると、"D"の音が出ます。これを続けると"C,G,D,A,E"と鳴る音が見つかります。これをCから順番に並べると、C,D,E,G,Aと言う5音階ができます。おそらくこんな方法でまずは、5音階(ペンタトニック・スケール)ができたと考えられます。
これにさらに2音が加わって、現在使われる7音階のC,D,E,F,G,A,Bができたんだと思いますが、ここに至るまでにはいろいろ紆余曲折があったようです。

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現在のようなコード進行(和声進行)にメロディーが乗る形の音楽ができる以前は、コード(和音)と言う考え方は無かったようで、旋法と言うメロディーだけで音楽ができていたようです。教会旋法を元にジャズで使う7つのモード(旋法)です。

Cアイオニアン・モード
C,D,E,(F),G,A,B

Dドリアン・モード
D,E,F,G,A,(B),C

Eフリジアン・モード
E,(F),G,A,B,C,D

Fリディアン・モード
F,G,A,(B),C,D,E

Gミクソリディアン・モード
G,A,B,C,D,E,(F)

Aエオリアン・モード
A,B,C,D,E,(F),G

Bロクリアン・モード
B,(C),D,E,(F),G,A

()内の音は特性音と言って、そのモードを特徴付ける音です。ジャズのモード奏法ではドリアン・モードをよく使います。ブルース・スケールとよく似ているからでしょう。

Cドリアン・モード
C,D,E♭,F,G,A,B♭

Cブルース・スケール
C,D,E♭,F,G,A,B♭

厳密には、ブルー・ノートは半音までは下がらないので、全く同じではありません。モード奏法でもコード進行のある曲の場合でも、5音階(ペンタトニック・スケール)を使う事ができます。

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ペンタトニック・スケール


5音階、ペンタトニック・スケールにもいろいろあるようですが、良く知られているメージャー・ペンタトニックとマイナー・ペンタトニックは以下のようになります。

Cメージャー・ペンタトニック・スケール
C,D,E,G,A

Aマイナー・ペンタトニック・スケール
A,C,D,E,G

Cマイナー・ペンタトニック・スケール
C,E♭,F,G,B♭

マイナー・ペンタトニックに似ているんですが、ブルース・ペンタトニック・スケールというものがあります。
Cブルース・ペンタトニック・スケール
C,E♭,F,G,B♭

マイナー・ペンタトニックとブルース・ペンタトニックの違いは、マイナー・ペンタトニックはその名の通り、マイナー・キーで使うのですがブルース・ペンタトニック・スケールはメージャー・キーでも使われるのが特徴です。ただ、ブルー・ノートと言われる、3度7度の音が半音下がると言われる音は、実際には半音までは下がらず、半音の半分クォーター・トーンだと言われています。ギター等のチョーキングで半音以下の音程を出せる楽器では、微妙なブルー・ノートを出せますが、キーボードでは半音以下の音は出せないので、ブルース・ペンタトニック・スケールをメージャー・キーで使うと、特に♭3度の音はマイナー感が強すぎます。ナチュラル3度を使って、時々前打音で♭3度を引っ掛ける位がいいと思います。

ジャズのアドリブでは、このブルース・ペンタトニック・スケールにさらに♭5度を加えた、C,E♭,F,G♭,G,B♭を使うとジャズらしくなります。ブルースはもちろん歌モノでもモード奏法でも使えます。難しいスケールを覚えなくても、このスケールを使いこなせればジャズ・アドリブらしくなります。音の並べ方に、ジャズ語法とでも言う旋法があるので、スケールだけ知っていてもジャズらしくはなりません。音使いの感覚は、プロの演奏を聞いて身に付けるしかないようです。